2027年蛍光灯問題での蛍光灯の仕訳について考えてみる

環境省や経済産業省からの発表どおり、一般照明用の蛍光ランプは2027年末で製造・輸出入が廃止される予定です。これに伴い、オフィスや店舗でもLED照明への切替が避けられません。
蛍光灯の交換費用が20万円未満であれば、(いわゆる形式基準により)原則として修繕費での処理できます。一方で、たとえば1本1万円のLEDを50本交換して50万円となるようなケースでは、「修繕費か資本的支出か」という論点が浮上します。
本記事では、蛍光灯をLEDに変更した場合の会計処理について整理します。
先に結論を述べると、既存の照明設備の本体はそのままで、蛍光灯をLEDタイプに交換するだけであれば、修繕費として処理するのが相当と考えます。
それでは本記事にどうぞ。
蛍光灯本体を入れ替える場合は「資産」の判定が必要
単なるランプの入替えではなく、照明器具の本体とLEDランプをセットで購入して、従来の器具ごと交換する場合は、新たな資産の取得にあたります。
この場合は、資産計上の単位をどう捉えるか(1台ごと、部屋ごと、セット一式など)の判定が必要です。
国税庁では次のように資産計上の単位についての見解が示されています。
No.5403 少額の減価償却資産になるかどうかの判定の例示より引用
- 応接セットの場合は、通常、テーブルと椅子が1組で取引されるものですから、1組で10万円未満になるかどうかを判定します。
- カーテンの場合は、1枚で機能するものではなく、一つの部屋で数枚が組み合わされて機能するものですから、部屋ごとにその合計額が10万円未満になるかどうかを判定します。
これを照明に当てはめると、照明器具の本体を交換するケースでは、「器具一式」または「部屋単位」で金額をとらえ、資産計上か費用処理かを検討するのが適切だといえます。
蛍光灯をLEDランプに交換するだけなら「修繕費」
一方、照明器具の本体はそのままで、蛍光灯(または蛍光灯型LEDランプ)のみを交換するケースではどうでしょうか。
LEDに替えることで省エネや寿命の延長といった性能向上は見込まれますが、これを理由として直ちに「資本的支出」とする必要があるのかが論点です。
この点について、国税庁は次のように示しています。
蛍光灯(又は蛍光灯型LEDランプ)は、照明設備(建物附属設備)がその効用を発揮するための一つの部品であり、かつ、その部品の性能が高まったことをもって、建物附属設備として価値等が高まったとまではいえないと考えられますので、修繕費として処理することが相当です。
自社の事務室の蛍光灯を蛍光灯型LEDランプに取り替えた場合の取替費用の取扱いについてより引用
以上から、ランプは設備が機能するための部品にすぎず、部品の性能向上=設備本体の価値向上とは評価しないと考えるのが妥当です。本数や金額にかかわらず、設備の維持管理に要する費用として「修繕費」処理が相当といえます。
仕訳参考:
①蛍光灯(または蛍光灯型LEDランプ)のみ交換
借方:修繕費 / 貸方:現金等
②照明器具の本体を新規に購入・交換(資産計上が相当な場合)
借方:建物附属設備等 / 貸方:現金等
※既存器具の除却が発生する場合は、帳簿価額や減価償却累計額の精算仕訳も併せて必要です。
おわりに
2027年蛍光灯問題での蛍光灯の仕訳について考えてみるの記事はいかがだったでしょうか。
「修繕費か資本的支出か」は実務で迷いやすい論点です。ただし、蛍光灯(ランプ)だけの交換であれば、国税庁の見解に照らして修繕費処理で問題ないと考えます。
器具本体の交換やレイアウト変更、照度設計の見直しを伴うようなケースは、資産計上の判定を含めて個別に検討しましょう。
免責
本記事は、2025年10月5日時点で入手できる情報をもとに作成しています。コンテンツの正確性・完全性についていかなる保証も行いません。サイトの内容を利用して生じたいかなる損害についても、当方は一切の責任を負いません。ご利用は利用者ご自身の判断と責任において行ってください。
参考文献等:
・国税庁HP
No.5403 少額の減価償却資産になるかどうかの判定の例示
・国税庁HP
第8節 資本的支出と修繕費
・国税庁HP
自社の事務室の蛍光灯を蛍光灯型LEDランプに取り替えた場合の取替費用の取扱いについて
コメント